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2015(平成 27)年度 ゼミ学習A    「デザイナーになってみよう」


日時  2015年10月24日(土)9:30~11:30

 

場所 NPOセンター鎌倉 2F会議室 

 

師: 鎌田豊成(かまだ とよしげ) 先生 (元、長岡造形大学学長)

 

 

テーマ:「デザイナーになってみよう」


 




1回 2015/10/24   9:30-11:30

応募(おうぼ)者の中から抽選(ちゅうせん)で選ばれた20名の参加学生を得て、3回のゼミ学習全体についての説明で始まった。



デザインって何?

 メモ用紙を配布(はいふ)し、「デザインとは何か」思いつくことを書いてもらうと、「絵を描(か)く、形を作る/考える、柄(がら)・図案を考える、どんなものを作るか決めること、服・家具・家を設計(せっけい)、使いやすいモノを作る、かわいいモノを作る、自然以外のすべて」など、様々なとらえ方が出された。

「デザイン」は辞書では「・・・を設計・計画する、下絵や図案を描く」とされているが、私達のまわりには「デザインされたもの」と「自然」がある。

デザインは「モノ/トコロ/コトのデザイン」に分けられ、それは「人がくらすための道具/人がいるための場所/人に伝えたい情報(じょうほう)」のデザインです。また、デザインとアート(芸術・げいじゅつ)の違(ちが)いですが、デザインには(だれかのためにつくるという)目的があり、「美しさ」と「使い勝手」の両方を求めるのに対し、アートでは、(自分のために)つくること自体が目的とされる。


よいデザインとは?

 日本の「グッドデザイン賞」の金賞作品が紹介(しょうかい)された。2014年度では、無印良品キッチン家電シリーズ/ANDO’S GLASS/ダイニングチェア KISARAGI/軽乗用車ダイハツ コペンなど、その他、これまでの数年間の同賞の作品が紹介された。

 この賞を選ぶときには8つの基準(きじゅん)があるが、特に大切なのは、カッコいい/新鮮(しんせん)/ハッとする/独創性(どくそうせい)がある/ユニーク/心がなごむ/面白い/ユーモアです。これにより、こころ揺(ゆ)さぶられ、感動します。


デザイナーに向いている人

先生はホワイトボードに「氷が溶(と)けると??になる」と書かれ、この??にはどんな言葉が入るか子どもたちに答えてもらった。「水」や「液体(えきたい)」「みぞれ」などが「正解(せいかい)」として出されたが、「春」という言葉を出すこともできると説明された。すなわちデザインも「正しい答え」だけで満足せず「いい答え」をみつけることが大切とされた。

ここで、先生はカバンから、3本脚(あし)の奇妙(きみょう)な形をした「フィリップ・スタルク(仏)デザインのレモン絞(しぼ)り器」を出して机(つくえ)の上に置き、(レモン絞り器であることは言わずに)それが何の道具かを子ども達に問いかけた。子ども達はキラキラと目を輝(かがや)かせた。

デザイナーに向いているのは、

  好奇心(こうきしん)が旺盛(おうせい)/美しいモノやコトを愛する/人の立場で考えることができる

/人と違(ちが)うことを考えるのが好き/工夫したりつくることが好き/面白いことが好き

/ユーモアがある

を持つ人です。このようなデザインマインドを持つことは、将来(しょうらい)どんな仕事についても、大切なことです。

最後に…

 美しいモノ・コトを愛そう。

自分の気持ちのみならず、他人の気持ちを大切にしよう。

 

以上のプレゼンテーションの後、次回までの宿題として、「身の回りにあるもので、各自が『これはグッドデザイン』と思うモノをさがしてもらい、その説明のためのメモや写真などをもってきて、次回に発表してもらう」こととした。


(文責、写真 中村和男)



2回 2015/11/07   14:00-16:00


1回に続いて20名全員の参加を得て、第2回ゼミ学習が開始された。はじめに、第1回に学んだ内容の要点のおさらいがなされた。


 


“スタルクによるレモン絞り器”を使ってみる

 前回、子ども達が目を輝かせたユニークなデザインのレモン絞り器を使って、子どもたち一人ひとりに実際(じっさい)にレモンを絞るレモネード作りを体感してもらった。背(せ)の低い子どもには使いにくかったが、先生の助けを得て、全員がその使い勝手と味を楽しむことができた。このレモン絞り器の入手方法を調べてきた子どもがいるか聞いたところ、既(すで)に自宅(じたく)にある学生が一名いた。


自然とデザイン

 この世界はデザインされたモノと自然でつくられているが、自然にも多くの美しいモノやすばらしい機能(きのう)や仕組みが見出される。それらは“神”によってデザインされたモノなのであろうか。

 様々な“自然”の画像(がぞう)がスクリーンに映(うつ)し出された。


美しいモノ・・・

  紅葉(こうよう)に染(そ)まった渓流(けいりゅう)、オーロラ、海中の色彩(しきさい)豊(ゆたか)かな珊瑚(さんご)と魚たち、水たまりに浮(う)かぶ落ち葉、観葉植物、落ち葉にみられる彩(いろど)りの組み合せ、複雑(ふくざつ)な網状(あみじょう)の葉脈、砂浜(すなはま)の奇妙(きみょう)な砂ちゃわん(実はツメタガイの卵)、小石と砂の作る文様、幾重(いくえ)にも重なった自然の中の氷の文様


素晴(すば)らしい機能(きのう)やしくみのモノ・・・

 鉄より強いクモの巣、六角形が組み合わされたミツバチの巣や石けんの泡(あわ)の重(かさ)なり、大きな花を支(ささ)えるチューリップの茎(くき)(スカイツリーとくらべる)、植物のツル(アールヌーボーの照明スタンドの形にいかす)、強度の高い二枚(にまい)貝(オーストラリアのオペラハウスにいかす)

これらから「自然はデザイナーにとっての先生」といえる。


子どもたちがとらえた身の回りのグッドデザイン

1回の宿題となっていた「身の回りにあるもので、各自が『これはグッドデザイン』と思うモノ」を一人ひとりから発表してもらった。

アルファロメオ(伊)のエンブレム〈赤い十字架(じゅうじか)とドラゴン〉、子どもの成長に合わせて使えるイス、トヨタのノアのすばらしい使いやすさ、新幹線(しんかんせん)車両の先端(せんたん)の形〈カワセミのクチバシに学ぶ〉,毛バタキとなる帽子(ぼうし)をもつイギリス近衛兵(このえへい)人形、ソーラーパネル付き電気スタンド、

6角形と5角形のパッチを組み合せたサッカーボール、マヨネーズのチューブ容器(ようき)、ペットボトル携帯(けいたい)ケース、窓付き蛍光(けいこう)ペン(ラインを見ながらなぞる)、針金細工(はりがねざいく)の飾(かざ)り小物ケース、折りたたみ定規(じょうぎ)、メガネ(視力(しりょく)をおぎなう、装飾(そうしょく))、シャープペンシル(削(けず)り不要の鉛筆+消しゴム付)、イス(腰(こし)かけ、くつろぎ)、スマートな懐中(かいちゅう)電灯、ご破算(はさん)ボタン付きそろばん、留(と)めやすいネックレス、など

 子どもたちは、それぞれグッドデザインに選んだ理由を述(の)べたが、第1回目に学んだグッドデザインの要件(ようけん)を踏(ふ)まえた説明が多く、現物(げんぶつ)、ミニチュア、写真などを持ち込(こ)んでくれたり、文と図でレポート形式にまとめたモノを作成してきてくれたりした。通常(つうじょう)の用品に機能と美しさを付け加えたモノ、今は当たり前の用品となっているが開発時の独創性(どくそうせい)がすばらしかったモノなど、いくつかの着眼点(ちゃくがんてん)のタイプがみられた。


最終回ゼミでのデザインTシャツ作りにむけて宿題を

 各自が描いてきた図案をコンピュータで取込(とり)み、特殊(とくしゅ)な用紙に印刷し、それをアイロンで白のTシャツに転写するという手順が説明された。宿題としてやってきてもらう図案づくり(20cm×20cm程度(ていど)のサイズ)においては、かっこよい図柄(ずがら)というだけでなく他の人へのメッセージをこめることの大切さが説明され、メッセージの文例がいくつか示(しめ)されたのである。

 

(文責と写真: 中村)





3回 2015/11/21   14:00-16:00

 

3回目は、いよいよ各学生のオリジナルデザインのTシャツ作りの実習です。受付時に各学生に事前申告されていたサイズの白い無地のTシャツが渡(わた)されました。

 

各自のデザイン原画作品をみんなで鑑賞(かんしょう)

まず、前回の宿題として持ち寄ったTシャツのデザイン原画の各自のオリジナルの作品(メッセージ+画)をみんなで鑑賞しました。講師(こうし)の鎌田先生が学生の席を廻(まわ)って、一人ひとりの作品を高く掲(かか)げ、その作者の作品に込めた思いを説明してもらうとともに、講評を行いました。各作品のイメージをメモにしてみると以下のようなモノでした。

 

 “LEO + 鷹(たか)の図 /自然を愛しむロボットの図 /“Challenge”/

 緑の木々を背景(はいけい)とした大仏(だいぶつ)の図 /“MeRRi ChRiSems”/

 ハートの中に自然と大仏を配した図 /飛翔(ひしょう)する鳥の図 /海面を跳(と)ぶシャチ /

 “Happy Smile Life”+動物・花・鳥・窓(まど)などのコラージュ図 /“LOVE”/

 “PEACE”+Vサインの指型を組合せた星の図 /“どうぶつ大好き”+兎(うさぎ)図 /

 “Catch a Dream”+海の波と太陽図 /“I Love Kamakura”+富士と江の島図 /

 “Communication”+横縞(よこしま)模様(もよう)&黄リング図 /“PEACE”+地球上の人の輪図 /

 “自然をまもろう”+大きな花びら図 /“かまくら 大好き”+鳩(はと)と子ども図 /

“えがおいっぱい かまくら&はな”+女の子笑顔図/“MINAMI”+花と亀(かめ)の図 /


オリジナルデザインTシャツの制作(せいさく)

さて、これらの作品を画像(がぞう)としてスキャナーでパソコンに取り込(こ)み、アイロン転写専用(せんよう)のプリントペーパーに出力し、各人のサイズにあった白いTシャツにアイロンで転写する作業に移(うつ)りました。

まず4年生の作品から、Tシャツを制作(せいさく)してゆくことにしました。講師の鎌田先生がパソコンとスキャナーを兼(か)ねたプリンターの前に座(すわ)って、1番目の作品「“LEO+鷹の図」をスキャナーで取り込み、画像ファイルを編集(へんしゅう)し、左右逆転(ぎゃくてん)と適切(てきせつ)な部分のトリミングとサイズの拡大(かくだい)/縮小(しゅくしょう)を行った後、アイロンプリントペーパーへ印刷する作業に入ったのですが、機器の調子が悪く、その調整に手間取ってしまいました。


とりあえず4年生10人の分の作業を行い、つぎのTシャツへのアイロンによる熱転写に入りました。熱転写すべき図案の必要部分を学生にハサミで切り出してもらい、白いTシャツの胸(むね)の位置に置いて、アイロン掛(か)けを行います。この作業も火傷(やけど)などのリスクを避(さ)けるため、講師と補助員(ほじょいん)で行いました。アイロンの熱が冷めたら表面の被覆(ひふく)を剥(はが)して出来上がりです。完成したオリジナルTシャツを手にした学生の笑顔が素敵でした。

 

結局、機器の不調もあり、20人の受講学生に対して4年生の10人分を完成させたところで、時間切れとなってしまいました。残りの10人分については、講師の鎌田先生に持ち帰って完成していただくことになり、それを126日の通常(つうじょう)授業の折に渡すことにして、3回にわたったゼミ学習を終了しました。

 

(文責と写真: 中村)