2022年度 養老学長との特別対話ゼミナール

 

 

2022年度子ども大学かまくら・養老学長との特別対話ゼミナール

 

「戦争」と「コロナ禍」

講師 養老孟司先生・子ども大学かまくら学長

東京大学名誉教授

 

2022年7月27日(水)10時~12時

 

鎌倉婦人子供会館ホール

 

 

(授業レポート・要約)

 

 

「子ども大学かまくら」では、養老孟司学長との特別対話ゼミナールを夏休みに開きました。参加した学生は小学6年生6人、小学5年生12人で、全員がそれぞれ養老学長に質問する形で対話ゼミナールは進行しました。(くわ)しくは2023年春に発刊予定の授業記録で紹介(しょうかい)します。学生の質問を受けて養老学長が語った要旨(ようし)を紹介します。

 

何が本当かは戦時に限らず分かりません

戦争は、「生きるための競争」である動物や昆虫(こんちゅう)生存(せいぞん)競争の戦いとは(ちが)う。(ぼく)らの小さいころは、鎌倉の住んでる地域(ちいき)(となり)近所のグループとよくケンカした。それが大きくなったようなものが戦争。

第二次世界大戦の時、なぜ日本が真珠(しんじゅ)(わん)攻撃(こうげき)をしたか、僕なりの理解で言うと軍が石油を確保するためにやった作戦であり、制海権(せいかいけん)(にぎ)りたかった。戦争中は灯火管制の真っ暗な中を飛行機が燃えて落ちていくのが印象に残っています。

 

本人の「つもり」と起こった結果は無関係ではない

ウクライナはロシア全体を占領(せんりょう)することは出来ないから、自国に侵入(しんにゅう)してきたロシア軍をたたくことに(てっ)してる。それでも戦争は戦争ですね。色んな形があるってことです。

 

戦争は国の(えら)い人同士がケンカしているわけじゃないです。戦争で良いことをやってるつもりでも、本人の「つもり」と起こった結果が無関係ではない。かなりの人が(いや)なんです、戦争で人を殺すっていうのは。

 

僕はバカなこと、しなきゃいいのにと思う

 

どうしたらこの戦争は終わるのか、やってる本人たちが一番考えてるはず。周りの人間が考えて答えがでるくらいなら本人がとっくに答えを出してますよ。間に入る人は実力がないとやめさせられない。君たちにも、戦争で流通が止まって食べるものがなくなるなどの影響(えいきょう)が必ずあります。戦争しないためにはということは20世紀からずーっと人は考えてます。僕はバカなことしなきゃいいのにって思う。何が本当かは戦時に限らず分かりません。みんな本当の答えがどこかにあるはずだと思ってる。人の言うことを全て信用していると後でえらい目にあうことがあります。

 

 

 コロナは免疫めんえきができると広がらなくなる

コロナウイルスなどの新しい伝染病(でんせんびょう)は最初、猛烈(もうれつ)な勢いで広がり、免疫ができてきて広がらなくなる。虫はウイルスにはかからない。よく作られているワクチンは、科学的に合成している。ガラス(びん)細胞(さいぼう)を飼って筋肉(きんにく)にすると人工肉も作れる、そうすると牛とか(ぶた)とかを飼う必要がない。食糧難(しょくりょうなん)が来たら僕は人工肉が流行るんじゃないかと思う。味の問題とか色々あるけど、案外遠い話じゃない。

 

 

僕は地震(じしん)噴火(ふんか)が心配

専門家(せんもんか)は、南海トラフ地震は2038年には起こると言っている。運が良くて生き残ったとして、その後の日本をどうつくるかは君ら次第。そういう準備をしてほしい。だから僕は戦争もコロナも全然心配してなくて、むしろ地震と噴火が心配。大変な時がきます。自分がどこに住んで、どういう仕事をして、どうやって生きていくか。一番大事なのは健康でいることですから、体を使う、なんでも自分でやるっていう(くせ)をつけた方が良い。(了)

             (文責・森 牧、写真・島村國治)