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2015(平成 27)年度 体験学習B    「DNAを見てみよう」




日時  2015年8月22日(火)午前10時~12時&14時~16時


場所 中外製薬(株)鎌倉研究所(鎌倉市梶原)


テーマ 「DNAを見てみよう」

  「くすりについて学び、食材からDNAを取り出す」体験

  

猛暑(もうしょ)日が続いた夏休みも終盤(しゅうばん)に入った土曜日の午前と午後の2回、中外製薬(株)鎌倉研究所で体験学習Bが行われました。集まった子どもたちは48人(午前と午後それぞれ24人づつ;4年生12人、5年生19人、6年生17人)、応募(おうぼ)者51人の中から抽選(ちゅうせん)で選ばれたのです。会社には、地元の小学生に対して「くすりについて」の学びと「DNAを取り出す」実験を自分で体験してもらうプログラムを準備いただき、研究所内を会場に、「くすりと中外製薬に関するお話」、「くすりのタネをさがす施設(しせつ)の見学」、そして「野菜、果物、肉類からのDNAの抽出(ちゅうしゅつ)実験」が実施(じっし)されました。


「くすりと中外製薬」について学ぶ

 会社の講師の方から、スライドを使って、医薬品とは何か、医薬品産業に必要なこと、中外製薬と鎌倉研究所の紹介(しょうかい)についてクイズを交えながら説明がなされました。まず、日本の急速な高齢(こうれい)化、高いレベルの医療(いりょう)と保険制度、死因としての病気の種類などの話しがあり、それに対する医薬品の種類と開発のむずかしさが紹介(しょうかい)されました。医薬品には、新たに基礎(きそ)的研究開発、臨床(りんしょう)試験を経て、国の審査(しんさ)で認(みと)められ、発売に至(いた)るまでに多くの費用と時間をかけて作られた「新薬」と、既(すで)に効果があるとして使われてきて特許が切れたくすりをコピーして製造し安価に発売される「ジェネリック薬」があるという。この一つの「新薬」の開発にかかる時間は917年、費用も1200億円とされ、3万件のくすりのタネの候補(こうほ)からようやく1件が新薬につながるというむずかしさです。そして、くすりを作る産業の使命としては、(a) 新しいくすりを作り続けること、(b) 安全なくすりであること、(c) 安定して供給(きょうきゅう)し続けること、が大切なのです。

 中外製薬は、医療用の新薬を作る会社として国際的な企業(きぎょう)グループに所属して活動している会社で、この鎌倉研究所では、約400人の研究員・技術員が、「くすりのタネをさがして、育てる」ために働いています。

 


しせつ見学「研究所とはどんなところ?」

 まず会場の入口に展示(てんじ)されている「質量分析(ぶんせき)装置(そうち)」が説明されました。この装置はノーベル化学賞を受賞された田中耕一氏の研究にもとづいて開発されたもので、この研究所が同氏と共同研究を行っていた時に使われたとのこと。さらに今回特別に見学させていただけることになった研究棟(れん)に移動し、新しいくすりのタネをすばやくさがすための、多数の化合物のライブラリーとそこからめざすくすりの候補をみつけて、必要な性質をもっているか機械で測定しコンピュータで調べるシステムを見学しました。



実験で「DNAを取り出す」



会場に戻(もど)ると、4人一組で6組分の机(つくえ)と椅子(いす)、実験道具が配置されており、各自が用意されていた白衣を身に着けた結果、まさに「子ども化学実験室」の誕生(たんじょう)でした。実験に入る前に「DNAについて」説明があり、(a) DNAは生物の体の設計図にあたること、(b) 生物のあらゆる部分の細胞(さいぼう)の核(かく)にあって同一の情報が埋(う)め込(こ)まれていること、(c) 病気とたたかう兵士や武器の作り方もDNAにふくまれていること、(d) DNAを使って病気に対する武器を人工的に作り、医薬品にできること、などを学びました。




 

つぎに、各組ごとに会社の方の指導を受けながら、DNAの抽出(ちゅうしゅつ)実験に取り組みました。手順は、(1) 溶液(ようえき)をつくる(食塩1g、台所用中性洗剤(せんざい)2ml、水30mlをまぜる)、(2) 4種類の食材(野菜2種、果物1種、肉1種)をすり鉢(はち)やコップですりつぶす、(3) つぶした食材の入った(2) のすり鉢やコップに(1)の溶液を入れて10分間ひたしておく、(4) 溶液にひたした食材を、茶こしに通して、カップに液体だけを取り出す、(5) (4)のカップの液体を4cc取り出し、小さいカップに移し、そこにアルコール15mlを静かにそそぐ、(6) 食材の溶液とアルコール液の間に白い糸のようなふわふわしたものが浮(う)かんでいるのを確認する。これがDNAなのです。 

 

食材のすりつぶしではシメジはややむずかしく、果物や肉は比較(ひかく)的やさしかった。またスポイトで必要量の液体を取り出すのは、なれていない者もいました。抽出されたDNAは食材によってさまざまな色の液体中に白く浮かんでおり、美しいものでした。子ども達は、各自の白衣とともに、抽出したDNAを小さな円筒(えんとう)のガラス容器に入れて持ち帰ることができるように配慮(はいりょ)いただきました。



 ~ 実験の時の写真  ~




体験学習の中での質疑(しつぎ)


 午前、午後を通じて、講義、施設見学、実験の中でいくつかの質問が出されました。


Q1:どのくらいの数のくすりが実際には発売されているのか?


 A1:同じ種類のくすりでも、くすりの形が異(こと)なるものがあったりして数え方がむずかしいが、種類としては2万種以上あるといわれている。


Q2DNAの取り出し実験の食材はジュースでも行うことができるか?


 A2:食品となったときに食材の細胞(さいぼう)としての形がこわされている場合はできないことになる。熱が加わってもDNAは壊(こわ)れてしまう。ジュースはむずかしい。生の未加工の食材が適している。


以上 


(文責 中村和男;  写真 仲島孝)